ロボット骨格をPETGフィラメントで出力してみた
今まで3Dモデルの出力にはPLAフィラメントを使っていたのですが、PETGフィラメントを試してみました。靭性に乏しいPLAでパチンとはめ込むタイプのボールジョイントを作るべくいろんな形状を試作したもののうまくいかず、さりとてABS樹脂は発がん性とか融解時に発生するガス(臭い)が気になって使う気になれず、というところにFlashforgeのオンラインストアで「破壊伸び率は普通のPLAの50倍以上」という宣伝コピーを見つけ購入しました。
スライサーソフト(FlashPrint)にはPETG用の設定プロファイルが無かったので設定をいろいろ試しながらとりあえずPLAで作っていたのと同じように形状を出力できるところまでたどり着いたところです。
2つのロボット骨格は個々のパーツの形状に多少の違いはあるものの全体の構造(部品数やシリコンゴムのチューブを使った関節の実装)は同じものです。
PETGで出力した結果はこんな感じ。PLAと比べると全体に糸引きが多い印象ではあります。「糸引きが多いのはヘッドの温度が高過ぎるからだ」というような説明をどっかで見たのですが、私の場合ヘッドの温度を下げると出力した樹脂のプラットフォームへのくいつきが悪くなってしまいまともに造形できなくなってしまうので240℃目いっぱいの高さに設定しています。
糸引きはあってもヤスリで簡単に削除することができます。PLAで出力したときに比べてラフトやサポート材の痕もちょっとヤスリがけすることで消すことができ、この点は「PLAよりも加工しやすい」という謳い文句のとおりです。細かい形状についたサポート材を切り離そうとして本体部分にまで亀裂がはいってしまう、なんてこともだいぶ減りました。
設定の主なは変更点は以下のとおりです。
【追記】
Flashforge社のサイトで対応策を見つけたので試してみました。
ヘッドを移動するたびにいったんフィラメントを引き戻していたんですね。知らなかった...
出力してみて糸引きが劇的に改善されたかというとそうでもないのですが、感覚的には若干少なくなったような気がします。また、設定である程度の高さまで出力が進んだらヘッドの温度を下げることができるようなのでそれも試しています。
私の環境(プラットフォームに住友3Mの透明保護シートを貼りつけている)ではプラットフォームに造形物をしっかり固定するために240℃でないとだめだったのですが、ラフトの厚み+1,2mmまで造形できれば後は温度を下げても問題ないだろうと判断しました。今のところこれで不都合は生じていません。
しばらく、この設定でPETGの出力を続けていきます。
ロボット骨格を再設計
変形機構の導入をにらんでロボット骨格を再設計しました。
Fusion360の使い方にも慣れてきて、ソフトウェアでいうモジュール化(腕や脚のパーツを別々のファイルで作ってあるパーツの変更の影響が他バーツに及ぶのを最小化する)ができるようになった気がします。前回、太郎丸の骨格ではマッチ棒をつないだだけみたいな構造から半年以上かけてスクラップ&ビルドを繰り返していったのですが、今回は比較的短期間で3Dプリント出力までもっていけたと悦にいっています(自己満足ですが)。
再設計にあたっては関節の実装方法を変更してボールジョイントの球体部分が腿の中にめり込むようなかたちにしています。ねらいは股の部分、左右脚の間隔を狭くしてよりヒト型に近づけること(下の写真参照)。
両脚の間があまりあいてしまうと飛行形態に変形時にこのすき間をどうやってふさぐかという問題が生じます。アーマーのパーツでごまかすためには脚と脚の間のすきまがそこそこ狭くなっていてほしかったのです。
ポーズをとってみると、ちょっと腕が長すぎた!!
ここらへんはまだ要調整です。
頭部変形パーツを試作
飛行形態への変形機構を作るための試行錯誤の一端です。
頭部を全部覆ってとんがったフォルムを作ろうとすると覆いの部分のパーツがかさばってしまい歩行形態時の見かけがぶかっこうになってしまいます。
そこで頭部全体をコンパクトにしてかつ、頭部側にも可動部をつけてみました。
飛行形態時の先端部は頭部自体が変形して実現するようにしました。
Adventure3で出力、色を塗りました。フィラメントを赤からナチュラル(半透明)に変えたところ発色はこれまでよりもよくなった気がします。
横からみるとこんな感じ。ポニーテールのように後ろに伸びていたアンテナが回転し飛行形態時の先端になるという想定です。
歩行形態時の頭部。可動機構の動作確認はできたものの、デザイン的には今一つですね。大きさもちょっとコンパクトにしすぎたかな。肩アーマーの設計とあわせて改良を続けていきます。
太郎丸に試作変形用パーツを装着
前々回に作った車軸ジョイントを使って飛行形態変形用のパーツに挑戦。
Zガンダムなんかはガンプラの制作記事を見てみて何がどうなってあんなかたちになれるのかまったく見当がつかない。どちらかというと敵役のMSのほうが、まだ外見からどう変形するのかを想像しやすい気がします。とりあえず、ネット上のいろんなロボットの画像を眺めているうちに、肩部分のアーマーを変形させて機首先端にできないかと思い試してみました。
かなり大きめで不格好な肩アーマーですが、変形させるとこんな感じ。頭部を覆うことができます。
方向性としては良さそうなんですが、強度的に弱いところがありこのままの3Dモデルでもう片方の右半分を作成することは断念。モデリングをやり直しているところです。
SF的妄想設定: 市田屋工務店製 レイバーロボ 太郎丸
今回、3Dモデリング的には何も進展はないのですが制作中のオリジナルロボットの背景というか世界観みたいなものを妄想したので記しておきます。
まず、開発対象を単に「ロボット」というのも味気ないので、人間の肉体労働を強化・代替するロボットという意味でレイバーロボ(Labor Robot)と呼ぶことにします。先日紹介したレイバーロボ試作1号機の市田屋工務店社内での正式型番はPLR-18-01です。PLRはPrototype Labor Robotの略、18は3Dモデルの主バージョン番号、01は実際に3Dプリントした1号機であることを示しています。ただ、開発メンバーからは「太郎丸」という愛称で呼ばれています。
太郎丸の基本スペックですが以下のようになります。
試作8号機に塗装済みボディアーマーを装着
試作8号機に上半身のボディアーマーを装着しました。
頭部も4つのパーツに分けて作成し色塗り後に貼り合わせました。
ポーズをとるとこんな感じ。
構成部品をひととおり作成してオリジナルロボットとしてはやっと試作1号機といったところでしょうか。