3Dモデルをいろいろ作ってみたい

3Dモデルをいろいろ作ろうとがんばっています。苦労した点、役に立ちそうな情報を発信していきます。

ロボット骨格をPETGフィラメントで出力してみた

今まで3Dモデルの出力にはPLAフィラメントを使っていたのですが、PETGフィラメントを試してみました。靭性に乏しいPLAでパチンとはめ込むタイプのボールジョイントを作るべくいろんな形状を試作したもののうまくいかず、さりとてABS樹脂は発がん性とか融解時に発生するガス(臭い)が気になって使う気になれず、というところにFlashforgeのオンラインストア「破壊伸び率は普通のPLAの50倍以上」という宣伝コピーを見つけ購入しました。

スライサーソフト(FlashPrint)にはPETG用の設定プロファイルが無かったので設定をいろいろ試しながらとりあえずPLAで作っていたのと同じように形状を出力できるところまでたどり着いたところです。

f:id:ichidaya:20200606231021j:plain

PLA出力(左)とPETG出力(右)

2つのロボット骨格は個々のパーツの形状に多少の違いはあるものの全体の構造(部品数やシリコンゴムのチューブを使った関節の実装)は同じものです。

PETGで出力した結果はこんな感じ。PLAと比べると全体に糸引きが多い印象ではあります。「糸引きが多いのはヘッドの温度が高過ぎるからだ」というような説明をどっかで見たのですが、私の場合ヘッドの温度を下げると出力した樹脂のプラットフォームへのくいつきが悪くなってしまいまともに造形できなくなってしまうので240℃目いっぱいの高さに設定しています。

f:id:ichidaya:20200606233145j:plain

PETGでの出力結果

糸引きはあってもヤスリで簡単に削除することができます。PLAで出力したときに比べてラフトやサポート材の痕もちょっとヤスリがけすることで消すことができ、この点は「PLAよりも加工しやすい」という謳い文句のとおりです。細かい形状についたサポート材を切り離そうとして本体部分にまで亀裂がはいってしまう、なんてこともだいぶ減りました。

設定の主なは変更点は以下のとおりです。

f:id:ichidaya:20200607002457p:plain

PETG用設定 その1

f:id:ichidaya:20200607002637p:plain

PETG用設定 その2

 【追記】

Flashforge社のサイトで対応策を見つけたので試してみました。

flashforge.co.jp

ヘッドを移動するたびにいったんフィラメントを引き戻していたんですね。知らなかった...

f:id:ichidaya:20200609091259j:plain

糸引きへの対応設定

出力してみて糸引きが劇的に改善されたかというとそうでもないのですが、感覚的には若干少なくなったような気がします。また、設定である程度の高さまで出力が進んだらヘッドの温度を下げることができるようなのでそれも試しています。

f:id:ichidaya:20200609092822j:plain

ラフト付近のみ温度を上げる設定

私の環境(プラットフォームに住友3Mの透明保護シートを貼りつけている)ではプラットフォームに造形物をしっかり固定するために240℃でないとだめだったのですが、ラフトの厚み+1,2mmまで造形できれば後は温度を下げても問題ないだろうと判断しました。今のところこれで不都合は生じていません。

 

しばらく、この設定でPETGの出力を続けていきます。

ロボット骨格を再設計

変形機構の導入をにらんでロボット骨格を再設計しました。

f:id:ichidaya:20200513214853j:plain

新規に制作したロボット骨格

Fusion360の使い方にも慣れてきて、ソフトウェアでいうモジュール化(腕や脚のパーツを別々のファイルで作ってあるパーツの変更の影響が他バーツに及ぶのを最小化する)ができるようになった気がします。前回、太郎丸の骨格ではマッチ棒をつないだだけみたいな構造から半年以上かけてスクラップ&ビルドを繰り返していったのですが、今回は比較的短期間で3Dプリント出力までもっていけたと悦にいっています(自己満足ですが)。

再設計にあたっては関節の実装方法を変更してボールジョイントの球体部分が腿の中にめり込むようなかたちにしています。ねらいは股の部分、左右脚の間隔を狭くしてよりヒト型に近づけること(下の写真参照)。

f:id:ichidaya:20200513221818j:plain

太郎丸との比較

両脚の間があまりあいてしまうと飛行形態に変形時にこのすき間をどうやってふさぐかという問題が生じます。アーマーのパーツでごまかすためには脚と脚の間のすきまがそこそこ狭くなっていてほしかったのです。

f:id:ichidaya:20200513223528j:plain

立ち姿

ポーズをとってみると、ちょっと腕が長すぎた!!

ここらへんはまだ要調整です。

 

頭部変形パーツを試作

飛行形態への変形機構を作るための試行錯誤の一端です。

頭部を全部覆ってとんがったフォルムを作ろうとすると覆いの部分のパーツがかさばってしまい歩行形態時の見かけがぶかっこうになってしまいます。

f:id:ichidaya:20200429111913j:plain

やっぱり肩アーマーがかさばる

そこで頭部全体をコンパクトにしてかつ、頭部側にも可動部をつけてみました。

f:id:ichidaya:20200429112956j:plain

頭部を付け替えた全身像

飛行形態時の先端部は頭部自体が変形して実現するようにしました。

f:id:ichidaya:20200429121646j:plain

先端部の変形機構

Adventure3で出力、色を塗りました。フィラメントを赤からナチュラル(半透明)に変えたところ発色はこれまでよりもよくなった気がします。

f:id:ichidaya:20200429113451j:plain

先端部を引き出したかたち

横からみるとこんな感じ。ポニーテールのように後ろに伸びていたアンテナが回転し飛行形態時の先端になるという想定です。

f:id:ichidaya:20200429113915j:plain

頭部アンテナが可動して先端部になる

 歩行形態時の頭部。可動機構の動作確認はできたものの、デザイン的には今一つですね。大きさもちょっとコンパクトにしすぎたかな。肩アーマーの設計とあわせて改良を続けていきます。

f:id:ichidaya:20200429114253j:plain

歩行形態時の頭部

 

太郎丸に試作変形用パーツを装着

前々回に作った車軸ジョイントを使って飛行形態変形用のパーツに挑戦。

Zガンダムなんかはガンプラの制作記事を見てみて何がどうなってあんなかたちになれるのかまったく見当がつかない。どちらかというと敵役のMSのほうが、まだ外見からどう変形するのかを想像しやすい気がします。とりあえず、ネット上のいろんなロボットの画像を眺めているうちに、肩部分のアーマーを変形させて機首先端にできないかと思い試してみました。

f:id:ichidaya:20200419170231j:plain

かなり大きめの肩アーマー

かなり大きめで不格好な肩アーマーですが、変形させるとこんな感じ。頭部を覆うことができます。

f:id:ichidaya:20200419170446j:plain

肩アーマーが機首先端部のカバーに変形

方向性としては良さそうなんですが、強度的に弱いところがありこのままの3Dモデルでもう片方の右半分を作成することは断念。モデリングをやり直しているところです。

 

SF的妄想設定: 市田屋工務店製 レイバーロボ 太郎丸

今回、3Dモデリング的には何も進展はないのですが制作中のオリジナルロボットの背景というか世界観みたいなものを妄想したので記しておきます。

まず、開発対象を単に「ロボット」というのも味気ないので、人間の肉体労働を強化・代替するロボットという意味でレイバーロボ(Labor Robot)と呼ぶことにします。先日紹介したレイバーロボ試作1号機の市田工務店社内での正式型番はPLR-18-01です。PLRはPrototype Labor Robotの略、18は3Dモデルの主バージョン番号、01は実際に3Dプリントした1号機であることを示しています。ただ、開発メンバーからは「太郎丸」という愛称で呼ばれています。

f:id:ichidaya:20200404170846j:plain

レイバーロボ 太郎丸

太郎丸の基本スペックですが以下のようになります。

分類 汎用2足歩行型作業機械
型番  PLR-18-01
体高 25.2m
重量 55.1t
動力炉出力 1.7MWat
写真は1/144スケールのミニチュアです。
 
以下、弊社レイバーロボ開発課、設計・開発主任A氏のコメントです。
市田工務店としては初のレイバーロボの開発ですので、基本方式としては実績あるZeon-ZAKUデザインパターンを採用しました。胴体モノコック、胸の裏側にコックピット、その下の腰部分に動力炉を配置するオーソドックスな構造です。この動力源の素粒子反応炉は西銀河W-04宙域アキバ星系の自由市場で調達しています。ノーブランド品ですが、航宙公社規格A-4クラス認証済で最大出力は1.7メガワットをたたきだします。あの四ツ星重工製の高級機「誉-III」型にもひけをとらない優れモノです。
動力伝達系、駆動系には弊社の独自技術である超々伝導管を採用しました。動力炉でメタ生成された仮想化運動エネルギーを伝導ロス0.03%以下で首、腰、四肢の関節駆動部に送っています。関節駆動部では梵天技研製の特級無摩擦整流子と超高圧仕様の回転子の組合せで仮想エネルギーをインスタンス化し関節駆動用回転モーメントを発生させています。メタ生成用のテンプレートを交換することで仮想化重力エネルギーを生成することも可能であり...」
技術オタクが好きな分野について話し出すと止まらないのでこのへんにしておきましょう。

3Dプリンタでどこまで小さいジョイントをつくれるか

年度末最後にモデリングしたのは自由度1の車軸ジョイントです。

f:id:ichidaya:20200331213108j:plain

ジョイントのモデリング

 将来、変形ロボットに発展させることをにらんで3Dプリンタでどのくらい小さい可動ギミックを作れるか試してみました。左はプラモデル改造用に市販されているジョイント(ホビーベース社製)の中で一番小さかったもの(中央の丸い部分の直径が約6mm)です。残りの2つがAdventure 3でプリントしたものです。

f:id:ichidaya:20200331213747j:plain

市販パーツとの比較

このくらい小さいものが作れるのなら、変形ロボットもなんとかなるかも。

耐久性はしばらく使ってようすをみないと評価できませんが。

 

試作8号機に塗装済みボディアーマーを装着

試作8号機に上半身のボディアーマーを装着しました。

f:id:ichidaya:20200322163539j:plain

アーマー装着済全身像

頭部も4つのパーツに分けて作成し色塗り後に貼り合わせました。

f:id:ichidaya:20200322163832j:plain

頭部拡大写真

ポーズをとるとこんな感じ。

f:id:ichidaya:20200322164057j:plain

立ち姿 その1

f:id:ichidaya:20200322164124j:plain

立ち姿 その2

 構成部品をひととおり作成してオリジナルロボットとしてはやっと試作1号機といったところでしょうか。